小菱形筋

基本情報

起始第7頸椎棘突起、第1胸椎棘突起①
停止肩甲骨棘三角部の底辺を構成する内側縁①
支配神経肩甲骨棘三角部の底辺を構成する内側縁①
髄節レベルC5①
作用肩甲骨内転・挙上、胸椎対側回旋(逆作用)①

関連情報

大菱形筋、小菱形筋は、ときに合して一つの菱形筋となっている場合が約11%あるといわれる。③

・菱形筋の表層に僧帽筋が位置するが、その筋間を腹神経が走行している。②

・主に肩甲骨内転に作用する。また肩甲挙筋小胸筋と共同して肩甲骨下方回旋に関わる。 ②

前鋸筋と協同して肩甲骨内側縁を胸郭に保持する。 ②

・胸郭出口症候群牽引型では、菱形筋、僧帽筋中部線維による肩甲骨の胸郭への固定作用が低下している症例が多く、疼痛の発生に強く関係している。 ②

・関連疾患:胸郭出口症候群、肩関節不安定症、肩関節周囲炎など。 ②

・上肢挙上運動中に拮抗筋として作用する小胸筋肩甲挙筋、菱形筋群の過緊張、伸張性低下は、肩甲骨運動以上の原因となる。⑤⑥⑦ 具体的には、小胸筋の過緊張、伸張性低下は上肢挙上運動中の肩甲骨後傾、外旋を制限し⑧⑨、肩甲挙筋、菱形筋群は、上肢挙上運動中の肩甲骨上方回旋、内旋を制限すると考えられている。また肩甲挙筋は僧帽筋上部線維と同時に収縮することで肩甲骨挙上に作用する。しがたって、肩甲挙筋僧帽筋上部線維の過緊張、伸張性低下は上肢挙上運動中の肩甲骨挙上を引き起こす可能性がある。④

・肩関節の運動は、その運動に参画する筋群の共同作用によって成り立っている。なかでも、上肢挙上の主動作筋である三角筋は、挙上初期より活動を開始し90°~120°でその活動は最大となる。腱板構成筋もまた挙上初期より活動を開始するが、挙上中期までにその活動は最大となり、それ以降は減少してゆく。⑩⑪ 興味深いことに、棘上筋の活動開始は、挙上(骨運動)が開始されるよりもわずかに(約0.1秒)早いことから、挙上運動のStaeterとして上腕骨頭の引き寄せに作用すると考えられる。肩甲骨の運動や支持に関与する僧帽筋前鋸筋、および菱形筋の活動も、挙上初期より開始され、挙上100~130°で最大となる。⑪

引用文献

①林典雄 監修,鵜飼建志 編著:セラピストのための機能解剖学的ストレッチング 上肢 第1版,2016

②林典雄 執筆:改訂第1版 運動療法のための機能解剖学的触診技術‐上肢,2012

③森於菟ほか:分担 解剖学,金原出版,1982

④編集 甲斐義浩:肩関節理学療法マネジメント 機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く,2021

⑤ kibler wb.et al:clinical inplicationsof scapular dyslinesis in shoulder injury:the 2013 consensus statementfrom the ‘C summit’ brj sports med.47(14):877-885.2013

⑥ludewing pm.et al:the association of scapular kinematics and glenohumeral joint pathologies j orthop sports phys ther.39(2) 90-104.2009

⑦cools am.et al:rehabilitation of scapular dykinesis:from the office worker to the elite overhead athlarte br j sports med.48(8)692-697.2014

⑧borstad jd.et al:the effect of long versus short pectoralis minor resting length on scapular kinematics in healthy individuals j orthop sports phys ther.35(4):227-238.2005

⑨umehara j.et al: scapular kinematics  alterations juring arm elevation with decrease in pectoralis minor stiffness after stretching in healthy individuals.j shoulder elbow surg.27(7):1214-1220.2008

⑩kironberg m.et al:muscle activity and coordination in the normal shoulder.an ekectoromyographic study clin orthop relat res.(257)76-85.1990

⑪wickham j.et al:quantifying ‘normal’ shoulder muscle activity during abduction j ekectromyogr kinesiol.20(2)212-222.2010

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