基本情報
起始 | 第1~第4頸椎横突起① |
停止 | 肩甲骨上角の内側縁① |
支配神経 | 肩甲背神経① |
髄節レベル | C5① |
作用 | 頸部伸展・同側側屈・同側側屈、肩甲骨内転・挙上・下方回旋① |
関連情報
・起始部が4つある関係で、4束の構造をもった筋肉である。②
・主に肩甲骨挙上に作用し、菱形筋、小胸筋と協同して肩甲骨下方回旋に関わる。 ②
・肩甲骨が固定された状態で、両側が作用したときには頸部の伸展、一側が作用したときには頸部の側屈と同側への回旋に関与する。 ②
・肩結合織炎(肩こり)において筋硬結が著明な筋に肩甲挙筋が挙げられる。これは肩甲背神経の絞扼との関連が強い。 ②
・肩甲背神経はC5神経根より分岐後、肩甲挙筋、小菱形筋、大菱形筋の深部を通過しそれぞれを支配する。著名な筋攣縮は、肩甲背神経を絞扼し、肩甲骨内側の鈍痛を誘発する。 ②
・肩甲挙筋の過剰な攣縮は、肩甲骨の下方回旋、挙上位でロックし、二次的な肩甲上腕関節の不安定性や、腕神経叢症状を引き起こすことが多い。 ②
・僧帽筋機能の低下した症例のほとんどは、肩甲骨の固定機能を肩甲挙筋に依存して行っている。 ②
・関連疾患:胸郭出口症候群、肩関節不安定症、肩結合織炎、肩関節周囲炎、投球障害肩など。 ②
・上肢挙上運動中に拮抗筋として作用する小胸筋、肩甲挙筋、菱形筋群の過緊張、伸張性低下は、肩甲骨運動以上の原因となる。④⑤⑥ 具体的には、小胸筋の過緊張、伸張性低下は上肢挙上運動中の肩甲骨後傾、外旋を制限し⑦⑧、肩甲挙筋、菱形筋群は、上肢挙上運動中の肩甲骨上方回旋、内旋を制限すると考えられている。また肩甲挙筋は僧帽筋上部線維と同時に収縮することで肩甲骨挙上に作用する。しがたって、肩甲挙筋と僧帽筋上部線維の過緊張、伸張性低下は上肢挙上運動中の肩甲骨挙上を引き起こす可能性がある。③
引用文献
①林典雄 監修,鵜飼建志 編著:セラピストのための機能解剖学的ストレッチング 上肢 第1版,2016
②林典雄 執筆:改訂第1版 運動療法のための機能解剖学的触診技術‐上肢,2012
③編集 甲斐義浩:肩関節理学療法マネジメント 機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く,2021
④ kibler wb.et al:clinical inplicationsof scapular dyslinesis in shoulder injury:the 2013 consensus statementfrom the ‘C summit’ brj sports med.47(14):877-885.2013
⑤ ludewing pm.et al:the association of scapular kinematics and glenohumeral joint pathologies j orthop sports phys ther.39(2) 90-104.2009
⑥cools am.et al:rehabilitation of scapular dykinesis:from the office worker to the elite overhead athlarte br j sports med.48(8)692-697.2014
⑦borstad jd.et al:the effect of long versus short pectoralis minor resting length on scapular kinematics in healthy individuals j orthop sports phys ther.35(4):227-238.2005
⑧umehara j.et al: scapular kinematics alterations juring arm elevation with decrease in pectoralis minor stiffness after stretching in healthy individuals.j shoulder elbow surg.27(7):1214-1220.2008
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