前脛骨筋

基本情報

関連情報

・前脛骨筋は長趾伸筋、長母趾伸筋らとともに前側コンパートメントに収納されている。②

・前脛骨筋の上方部は長趾伸筋と癒合しており、筋間が不明瞭である。②

・前脛骨筋は足関節の背屈および足部の回外に作用する。②

・足部が固定された場合には下腿を前傾させる。②

・前脛骨筋は前歩行周期のすべてに働く特殊な筋肉である。②

・前脛骨筋は内側縦アーチに対s知恵はこれを挙上し、横アーチに対しては低下させる。②

・前脛骨筋と後脛骨筋の関係は興味深く、回内、回外運動に関しては協同筋、背屈、底屈に関しては拮抗筋である。②

・腓骨神経麻痺により前脛骨筋の機能が消失すると下垂足となり鶏歩となる。②

・長距離ランナーによくみられるスポーツ傷害の一つに前側慢性コンパートメント症候群がある。②

・慢性コンパートメント症候群は筋内圧の上昇による阻血性疼痛であり、前脛骨筋に対するストレッチングの励行が重要となる。場合によっては筋膜石灰が行われる場合もある。③④⑤⑥

・関連疾患：腓骨神経麻痺、前側慢性コンパートメント症候群（前脛骨筋症候群）、前脛骨筋腱断裂など。②

・ショパール関節の内がえし可動性の低下は、主な内がえし筋である前脛骨筋の筋力低下と関連していることが多いため、前脛骨筋エクササイズによって可動性の改善と足部内側縦アーチの保持を図る。⑦

・動的支持組織では、前脛骨金や後脛骨筋、長趾屈筋、下腿三頭筋と足底腱膜が足部内側縦アーチの上昇に関与する。前脛骨筋は脛骨遠位から舟状骨に停止し、距舟関節の内がえしと内転に作用する⑧　後脛骨筋は踵骨および距骨を介して内側、中間、外側楔状骨に付着するため、収縮によってショパール関節はロックされ、足部合成が高まる⑨　長趾屈筋は、歩行中に一定の等尺性収縮を行うことで足部内側縦アーチの保持に関与する。⑩　足底腱膜は踵骨結節内側から前足部を結ぶ強固な腱膜で、荷重時の足底面を形成することで足部アーチの保持に貢献する。足底腱膜は下腿三頭筋と腱組織が一部連続しており、下腿三頭筋の伸張性低下に付随して緊張が高まるため⑪、下腿三頭筋の短縮は足部内側縦アーチ上昇を招く。⑫　屍体足でハイアーチモデルを作成した研究では、前脛骨筋や後脛骨筋、長趾屈筋、下腿三頭筋の過度な牽引によって足部アーチが上昇することが示された。⑬　これら足部外在筋の過剰な収縮は、足部内在筋の機能が低下した際にMTP関節の安定性向上の代償として生じるとされる。⑭　また下腿三頭筋の伸張性低下により足関節背屈制限が認められると、前脛骨筋よりも長腓骨筋の働きを優位となり、第1中足骨を底屈方向に強く牽引するため、足部内側縦アーチが上昇しやすくなる。⑮⑯

引用文献

①林典雄 監修,鵜飼建志 編著：セラピストのための機能解剖学的ストレッチング 下肢・体幹 第1版,2019

②林典雄 執筆：改訂第1版 運動療法のための機能解剖学的触診技術‐下肢・体幹,2007

③山下文治,万波健二,白井幸裕,ほか：下肢のconpartment syndromeについて.整形外科,32（3）：225-233,198

④萬納寺毅智,中嶋寛之,編集：スポーツ整形外科学,p273-275,南江堂,1990

⑤萬納寺毅智：コンパートメント症候群.臨床スポーツ医学,10（臨時増刊号）：345-347,1993

⑥大久保衛,島田永知：下腿コンパートメント症候群（慢性）.臨床スポーツ医学,8（臨時増刊号）：236-240,1991

⑦編集 小林匠 三木貴弘：足部・足関節理学療法マネジメント 機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く,2021

⑧Donald a.neumann:筋骨格系キネシオロジー.原著第2版（嶋田智明,ほか監訳）：p629-279.医歯薬出版.2012.

⑨lakin rc.contact mechanics of nomal tarsometatarsal joints.j bone joint surg am.520-528.2001.

⑩hofmann cl. et al:experimental evidence supporting isometric functioning of the extrinsic toe flexors during gait clin biomech(Bristol.avon).28(6):688-691.2013.

⑪pascual Huerta j:the effect of the gastrocnemius on the plantar fascia foot ankle clin.19 (4):701-718.2014.

⑫digiovanini cw.et al:isolated gastrocnemius tightness.j bone joint surg am.84-a(6):982-970.2002.

⑬tosenbaum aj.et al:the cavus foot.med clin north.am.98(2):301-312.2014.

⑭aminnian a.et al:the anatomy of cavus foot defotmity foot ankle cli.13(2).191-198.2008.

⑮digiovannicw.et al:foot & ankle:core knowledge.1^st edition.p58-66.Elsevier-mosby.2007.

⑯manoli a 2nd.et al:the subtle cavus foot. ‘the undetpronatoy’ .foot ankle int.26(3).256-263.2005.