基本情報
起始 | 仙骨前面① |
停止 | 大転子の尖端の後縁① |
支配神経 | 仙骨神経叢① |
髄節レベル | S1・S2① |
作用 | 股関節伸展位:股関節外旋・外転・屈曲 股関節屈曲位:股関節内旋・外転・伸展① |
関連情報
・梨状筋、大腿方形筋、上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋の6つの筋群は、すべて股関節外旋に作用する小さな筋の集合体であり、深層外旋6筋と呼ばれる。 ②
・梨状筋が大坐骨孔を通過するところでは、梨状筋上孔と梨状筋下孔は坐骨神経、下殿神経、下殿動脈、下殿静脈が通過する。 ②
・梨状筋は系統的に殿筋群に属しており、特に中殿筋との関係が深い。梨状筋と中殿筋は癒合していることもまれではないとされている。 ②
・梨状筋をはじめとする回旋筋群の主な働きは股関節の外旋である。 ②
・深層外旋6筋のなかで上方に位置する梨状筋には、股関節外転作用がある。 ②
・走行によっては股関節の外転、内転作用を有する筋もあるが、中殿筋等強力な筋肉が存在するなかでは、その作用はあくまで補助的である。 ②
・深層外旋6筋は肩関節でいう腱板と同じように、腸骨大腿靱帯などと協力して骨頭を支持し、骨頭の安定化に関与していると考えらえている。 ②
・梨状筋下孔を通過する坐骨神経は、梨状筋部において絞扼を受けやすい。子の解剖学的関係により生じる坐骨神経障害は梨状筋症候群とよばれる。 ②
・梨状筋症候群に対する保存療法はブロック注射が一般的であるが、近年運動療法による神経除圧と滑走性の改善による効果が報告されている。③④⑤
・椎間板ヘルニアと梨状筋症候群の鑑別には、梨状筋の圧痛所見以外にfreiberg’s test、pace’s testを確認するとよい。 ②
・人工股関節置換術や人工骨頭置換術では、手術の展開上回旋筋群は切離される。そのため術後早期では、過度な股関節屈曲、内転、内旋運動は回旋筋群による支持がなく脱臼の危険が非常に高い。 ②
・梨状筋症候群、変形性股関節症、大腿骨頸部骨折など。②
・股関節周囲筋は屈曲角度が増すとその作用は逆転し、屈曲60°以降において外旋作用は弱まり、内旋作用が強まる傾向にある。このため、股関節伸展0°では内旋筋よりも外旋筋が、屈曲60°では外旋筋よりも内旋筋が多く存在する。③⑦ なかでも大殿筋(上部線維)、中殿筋(後部線維)、小殿筋(後部線維)、梨状筋は作用の逆転がみられ、内旋筋として働く。このように臼蓋-骨頭の安定性には、股関節屈曲位(60°以降)では内旋筋が、伸展筋では外旋筋の強化が重要となる。⑥⑦
引用文献
①林典雄 監修,鵜飼建志 編著:セラピストのための機能解剖学的ストレッチング 下肢・体幹 第1版,2019
②林典雄 執筆:改訂第1版 運動療法のための機能解剖学的触診技術‐下肢・体幹,2007
③松本正知,加藤明,林典雄,ほか:梨状筋症候群に対する運動療法の試み.理学療法学,30(5):307-313,2003
④中宿伸哉,林典雄,ほか:梨状筋症候群における発症機転についての考察-初診理学所見よりみる発症タイプの分類-.理学療法学,32(2):491,2005
⑤山崎雅美,林典雄,ほか:梨状筋症候群に対する運動療法の考え方とその成績.理学療法学,32(2):491,2005
⑥福林徹 蒲田和芳 監修:骨盤・股関節・鼠径部のスポーツ疾患治療の科学的基礎,2013
⑦建内宏重:股関節の形態と運動ー教科書通りが正しいとは限らないー.sportsmedicine.2009;115:16-9.
コメントを残す