骨盤底筋群

基本情報

関連情報

・骨盤底筋は骨盤底をふさぐようにしている筋の総称であり、内閉鎖筋梨状筋、尾骨筋、肛門挙筋により構成される。さらに、肛門挙筋は恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、腸骨尾骨筋からなる。肛門挙筋の下方に存在する恥骨膀胱筋は、直腸や膣、尿道の括約に作用する恥骨膣筋、恥骨会陰筋、恥骨肛門筋からなる。

・骨盤底は骨盤底筋によって完全に塞がれてはいない。筋の付着部でもある骨盤内筋膜も骨盤底を構成する組織の1つである。これは骨盤筋膜腱弓(肛門挙筋腱弓、恥骨腸骨筋腱弓)より膣上壁に広がる密な線維性組織であり、尿道、膣、直腸を支持する。肛門挙筋の収縮により緊張し、膣圧の増大に作用する。①

・骨盤底筋は腹腔内圧上昇や腹圧性尿失禁の防止に重要な役割を果たす。一方、歩行や走行といった股関節の非対称的な運動において骨盤底筋は相同筋として活動することから、これらの運動において骨盤底筋が持続的緊張を保つことは不可能である。すなわち、歩行や走行において腹横筋下部は持続的緊張を保つのに対し、骨盤底筋は相同筋として活動することを前提としてトレーニングを行う必要がある。一方、尾骨の偏位によってもたらされる骨盤底筋の一側の過緊張は恥骨の安定化に負の影響を及ぼす。したがって、仙骨・尾骨のリアライメントを得たうえで、左右対称な骨盤底筋のリラクセーションを図り、そのうえで左右対称な収縮機能を獲得することが必要と考えられる。①

・骨盤底筋は呼吸に伴い横隔膜と強調した関係を有する。吸気の際、骨盤底筋が弛緩することで横隔膜の収縮によって尾方に、また呼吸の際、骨盤底筋が収縮することで横隔膜が弛緩し頭方に移動しやすくなる。骨盤底筋に関して、骨盤底筋の最大収縮では安静時と比較して11.2mmの厚さになり、膀胱が頭側に持ち上がるという報告もある。Sjodahlらは、骨盤底筋は上・下肢の挙上においてフィードフォワード機構が働くと推察した。 ①

・骨盤底筋の機能は骨盤輪の安定性に直接かかわることはいうまでもないが、そのトレーニング方法については確たるものが少ない。解剖学的に骨盤底筋と閉鎖筋と内閉鎖筋との関係に着目すると、それらは肛門挙筋腱弓を介して連結していることがわかる。骨盤底筋に対して直接的にアプローチすると、どうしても力みが入り、また収縮方法がわからないなど、指示によって反応がさまざまである。 ①

・骨盤底の引き上げ運動により骨盤底筋の活動増大が認められ、背臥位、立位、draw-in下での骨盤底の引き上げ運動により、骨盤底筋に加え横隔膜内腹斜筋の活動の増大が認められた。バルサルバ操作では骨盤底筋、内・外腹斜筋腹直筋の活動増大が認められた。Draw-in、咳嗽、強制呼気では骨盤底筋の活動の増大は認められず、腹横筋内腹斜筋の活動増大が認められた。また予備的活動報告では上肢挙上、下肢挙上により骨盤底筋の予備的活動が生じることが報告された。坐位姿勢の違いによって骨盤底筋の筋活動量が変化することも報告されており、姿勢を伸ばすように努力して坐位をしたときが最も筋活動量が大きく、次いで背もたれを用いない坐位姿勢、最も活動が小さいのは背もたれを用い寄りかかった坐位姿勢をとったときであった。 ①

・骨盤底筋群は腹横筋とともに活動することが報告されており、座位では骨盤後傾位よりも骨盤中間位でより活動が高まるとされている。②

引用文献

①福林徹 蒲田和芳 監修:骨盤・股関節・鼠径部のスポーツ疾患治療の科学的基礎,2013

②片寄正樹 編集:腰痛のリハビリテーション リコンディショニングーリスクマネジメントに基づいたアプローチー,2011

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