運動やスポーツをされている方は、
「母指球荷重が重要!」
などと聞いたことはありませんか?
今回は、そんな母指球荷重について述べていきたいと思います。
【母指球ってどこ?】
手のひらや足の裏の親指の付け根。
今回の場合は、足の裏の母指球の話になります。
正確には、「母趾球」の方が正しいですね。
うまく母指球に荷重がかけられている人は、
胼胝(タコ)や皮膚の肥厚が見られたりする場所です。
触ってみると、そのほかに比べ皮膚が厚くなっていると思います。
【母指球荷重とは】
では、母指球荷重とはなんでしょうか?
母指球荷重とは、
立っている時や走っている時などに、体重を母指球に乗せている状態のことをいいます。
例えば、
小指球ではなく、あくまで母指球!
カカトではなく、あくまで母指球! のようなイメージです。
【母指球荷重のメリット】
私は、全てが母指球荷重であれば良いとは考えていません。
必要に応じて、
・カカト荷重や小指荷重
・ウナ(内果−脛骨ライン)
に乗せるのもアリだと思います。
しかし、
瞬発的なスプリントやアジリティにおいては、
「下肢の支持性」がパワーロスやタイムロスの観点からかなり重要になります。
この「下肢の支持性」に必要なのが「母指球荷重」であると考えています。
メリット1:下肢の解剖学的剛性が高まる
足関節は背屈位に比べ、底屈位では解剖学的剛性が低下します。
これは距骨が距腿関節(足関節)にハマらず、
関節がユルイ状態になります。
つまり、捻挫しやすく状態になります。
この状態で、小指球に体重を乗せると、
足関節は内反位になり、
「内反捻挫」のリスクが高まります。
いわゆる足を内側にグネるやつですね!
言い換えると、パワー(床反力)が足関節で耐えきれず、逃げてしまっていることになります。
ここで母指球に荷重を乗せることで、
足関節は、外反位になり、
母趾ー距骨ー脛骨ー大腿骨のラインが一直線になります。
これにより、下肢の剛性が高まりエネルギーロスがなくなるため、
移動に必要なパワー(床反力)が得られることになります。
メリット2:下肢の神経生理学的支持性が高まる
母指球荷重は、
PNF運動パターンの観点からすると、
「伸展ー外転ー内旋パターン」に該当します。
PNFとは、
・固有受容性神経筋促通法と呼ばれる
・固有受容器を刺激し、筋肉を働かせる神経筋機構を促通することができる
・すると、複数の筋肉が同時多発的に反応しやすい
・ゆえに、筋肉が生み出すパワーによる動作へのパフォーマンスアップに繋がる
んー、なかなか説明がムズイですね。
誤解を恐れず、
ちょー簡単に言うと、
と捉えておいて下さい。
そのため、母指球荷重ではスプリントやアジリティにおいて、
「踏ん張りやすい姿勢!」
にすることが出来るのです。
【最後に】
母指球荷重には、
①アライメント(骨の位置関係)など解剖学的な観点から下肢の剛性が高まる
②下肢の神経筋機構が促通され、強いパワーが生み出される
というメリットがあります。
いつものウォームアップやトレーニングから母指球荷重を意識してみてください。
また普段と違った感覚が体感できると思います。
母指球荷重については、
スポーツ選手が絶対に獲得すべき動作 基礎編
でも、
その重要性や評価方法、トレーニング方法など詳しく説明させて頂いていますので、
良かったらチェックしてみてください!
〈参考資料〉
大工谷 新一:スポーツ外傷における問題点の予測,関西理学 4: 5–9, 2004
石田 弘ら:立位にて踵を上げて行う足関節の運動方向が下腿筋活動に及ぼす影響,理学療法科学 27(4):493–496,2012
秋山 純和:神経筋促通法(PNF)と筋力トレーニング,理学療法科学 18(1):23-28,2003
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